
これから、小学校や中学校に上がっていくけど、うちの子、優しすぎるし、いじめられたりしないかな…
不安になりますよね。
いじめられやすい子の傾向や親としていじめられにくく育てる方法なんてあるのかなど、気になると思います。
私は、6年半公立学校で教鞭をとるだけでなく、教員退職後の学校の先生をサポートする仕事も合わせて10年以上学校教育に携わ理、小学校、中学校、高校の子どもを見てきて、
結論、いじめられにくくする方法はある
と考えています。
そこで、親御さんが今日からできる3つの方法を解説します!
- いじめられにくくする育て方
- わが子がいじめっ子になった時の対応
- わが子がいじめられた時の対応
いじめの現状
その前にまずは、いじめの現状を理解しておきましょう!
実は、小学校4年生から中学校3年生までにおこなった調査で「仲間はずれ、無視、陰口」などの加害・被害の回数が0回と答えた子どもは、どちらも5%しかいないという調査結果があります。
また、小学校ではいじめの加害・被害が固定化するのではなく流動的であるということもわかっています。
そのため、小学校の段階では、完全にいじめられないようにすることを目指すより、お友達とのすれ違いや衝突の経験からコミュニケーションスキルを覚えさせると考えることが大切です。
一方、中学校からのいじめは、数も減るのですが被害者も加害者も固定化する傾向があるので、深刻ないじめの被害者に遭いにくくするために、幼児期や小学生からやっておくと効果的な育て方を3つ紹介しますね!
もし、わが子がいじめっ子になってしまったらどう対応したら良いか、逆に、わが子がいじめられたらどうしたらいいかも、後半では徹底解説していきます!
いじめられない子に育てる方法
方法① 前向きなセルフイメージを育てる
いじめられない子になるためには、高いセルフイメージが非常に大切です。
いじめっ子は、セルフイメージの高い子に、一度はちょっかいを出したりいじめても、「こいつをいじめても自分の欲求が満たされない」と感じると、いじめを継続することはないからなんです。
実は、吃音、性的マイノリティ、外国人、落ち着きがない、おとなしい子などがいじめの被害に遭いやすいという調査結果があるのですが、
「じゃあ、うちの子いじめられるかも」
と安易に考えるのではなく、マイノリティな部分や課題があったとしても、そんな不完全な部分も含めてマルッと「自分は価値がある」と思えるようにする
私が担任したクラスにも性的マイノリティの子がいて、女の子でもスラックスを履いていた生徒がいました。
他の生徒から「あの子なんでズボンなん?」と聞かれても「女の子やからスカートとかじゃなくていいんじゃない?似合ってるしいいやん。私の時にもあんなの欲しかったな〜」と答えていました。
また、いつもクラスで一人でいた子がクラスに堂々といられる居場所を作るため、
「別にみんなでいつも一緒にいるとか、ベタベタ一緒にいることだけが仲良しじゃない。みんながみんならしくいられるように」
とクラスに共有していました。実際、その生徒はグループワークなどでは活発に発言し、クラスの生徒もその生徒を受け入れ、しっかりクラスに馴染んでいました。
また、私がサポートしている先生の担任するクラスでも、吃音のある子供に対して、大人が優しく「うんうん」と聞く姿勢を見せると、子供もそれを真似して吃音のある子に「聞こえない!なんて言ってるかわからない!」というキツい言葉ではなく、なんとか聞き取ろうとする姿勢が増えたそうです。
性的マイノリティや吃音、外国人でも「かわいそう」と思う私たちの不安な気持ちも、持ってはいけないものと考えず、受けとめつつ、「かわいい!」「大好き!」「あなたがいてくれて幸せ」という気持ちの方を表現してセルフイメージを高めましょう!
方法② 日頃から、親子で気持ちや考えを伝え合い尊重し合う
子どもが自分の気持ちを相手に伝えることができるよう、日頃から、子どもの考えや気持ちを受けとめたり、私たち親の気持ちや考えも子供に伝え、お互いの感情や考えを尊重し合うスタンスを大事にしましょう。
自分の考えや気持ちを日頃から否定されたり受けとめられないと、
「自分の意見は言ってはいけない」
「自分の意見なんて聞いてもらうに値しない」
という気持ちが強くなって、友達に本当に嫌なことをされた時にも自分の気持ちを友達に伝えられなくて、友達の欲求不満の吐け口になってしまうんですね。
学校の子どもだけでなく、今、社会人の人の採用面接などもサポートする過程で
「子供が口答えするんじゃない!」
「黙って言うことを聞いてなさい!」
と育てられてきて「自分の意見を言ってはいけない」と職場でも夫婦関係でも、自分の考えを言えず対等な人間関係を構築しにくくて困っている方も少なくありません。
そんな人には、「自分の意見も言っていいんだ」「対等に話すってこういうことか」と体感することが大事になります。
また、最近は「親の考えを子供に押し付けてはいけない」という考えが拡大解釈されて「親の考えを子供に言ってはいけない」と思って自分の考えや気持ちを押し殺して、子供と向き合っている親御さんも少なくありません。
ポイントは「押し付けない」ということであって、子供に親の考えを一切共有しないのも、不自然。
お互いの意見や考えを伝え合って、子どものことなら最終的には心から子どもの考えや選択を尊重して応援したり、子供だけのことでなく、自分と子供とで折り合いをつける必要のあることなら、対話によってお互いにとってより良いアイデアを一緒に見つけていく対等な対話が大切です。
親が自分の気持ちを押し殺して子供と生活していると、子供も、対等な人同士のお互いを大事にし合った対話を経験していない場合、自分の意見を言ってこない親にはズケズケ言えても、自分より強い友達には何も言えなくなる。
大事なことは、自分も相手も同等に感情や考えが尊重されるべき存在であるという認識のもと、対等な立場で対話し自分の考えを表現できることなんです。
方法③ 友達とのすれ違いを学びや成長の機会にする
冒頭で話したように、特に小学校までは9割以上の子供たちが、誰かに仲間はずれや無視、陰口を言われたという経験もありますし、逆に誰かにそれらをした経験もあります。
いじめが固定化せず、やったりやられたりしながらコミュニケーションスキルを身につける小学校までの段階では特に、「子どもたちのすれ違いを避ける」のではなく、そのようなすれ違いを学びや成長の機会にしようとすることが大事です。
やったりやられたりしながら、共感性や対話の仕方、対立を解決する力を養う小学生までの時期に、子どもたちの対立はあってはならないものとして子どもの問題に親が入りすぎるのではなく、学びや成長の機会にするために次のような関わりを心がけましょう。
- 子どもの言い分や気持ちをまず聞き、気持ちには共感すること
- 相手の子どもの状況や言い分も一緒に考えること
- 本人が、相手の子と、これからどんな関係でいたいのか
- お互いが大事な存在だという前提のもと、どうすればお互いが気持ちよく学校生活を送れるか、そのために、自分ができることは何か
- これらを、子どもたちの考えを聞きながら明確にしていく
子どもに「どうしたい?」と聞いても「わからない」と返ってくることもあると思います。
今まで自分の頭で考えて解決してきた経験が少なかったり、子供同士のトラブルでも大人が一方的に「あなたが悪い、謝りなさい」とジャッジしてしまう環境にあると子供もいきなり質問してもわからないのは自然なことですね。
子供に聞いても「わからない」と返ってくる時の対処法もいくつか例を挙げると
具体例を示して答えやすくしよう!
例)「相手の子はどんな状況だったんだろう?」と子どもに聞いた時に「わからない」
→「何か、誰かに八つ当たりしたくなるようなイライラすることがあったんかな?」など
例)「相手の子と、これからどんな関係になりたいと思ってる?」と聞いた時に「わからない」
→「例えば、これからも休憩中に一緒に遊べる今までのような仲でいたいのか、お互いに他のお友達といて今までのようには一緒にいたくはないかとか」など
親が自分の意見を述べるときに「私はこうかな?と思ったけど、どうやろ?うーん。違うかな?」と「大人の考えが必ずしも正しいわけではない」という余地をしっかり残すと、子どもが「大人が答えを持ってるんでしょ」と思考停止するのではなく、自分で考えるようになるのでオススメです!
わが子がいじめっ子になってしまったら
もし、お子さんに適切な関わりをしていても、お子さんがいじめっ子になってしまったら、お子さんに必要なサポートは何かを考えましょう。
「私の育て方が悪かった…」と自分自身を責めてしまうでも、「なぜうちの子はこんなに意地悪なのか」とお子さんにネガティブなレッテル貼りをするでもなく、「この子は、何に困っているかな?」と考えることが大事です!
というのも、いじめっ子になってしまった子も、実は何かしらのストレスを感じていて困っていることも多いからなんです。
小中学生にしたある調査では、子どもたちはストレスを感じた時に
- 「誰かを叩いたり、蹴ったり、強く押したりした」という子が35.9%
- 「誰かに意地悪をしたり嫌な思いをさせたりした」という子が34.5%
- 「ものを壊したり、叩いたりした」という子が24.1%
つまり、まだまだ子どもたちはストレスを適切に解消する方法を知らず、他者を傷つけてしまうということがわかります。
では、子どもがどの時間に強くストレスを感じるか
- 「家に帰ってからの時間」…小26.9%、中26.3%
- 「授業中」…小24.7%、中27.5%
このことから、家庭が子どもたちにとって安心安全な場であることが大事だということがわかります。
実際に、今日話したような民主的な関わりをしている子は、ストレス対処能力が優れ、社会的スキルが高く、学校適応も良好であるということも、あらゆる研究でわかっているそうです。
また、1日の大半を過ごす授業についていけないのもストレスが大きいですし、自己効力感も下がり、他者を下げて優越感を感じたい気持ちになりますよね。
子どもが学力面でストレスを感じている場合には、子どもに合った塾に行くのも良いが、子どもが乗り気でないし、親が教えられない時は先生や友達に質問するスキルを教えるのもGOOD。
「いじめっ子の親がやってることを真似してるだけでしょ!」
そんな声もよくありますが、私自身、学校で勤めていて、そのような考え方が私たち親自身の首を絞めることにもつながると考えています。
もちろん、子どもたちの中には、親御さんのことを真似している時もありますが、特に小学校までの間はどんな親御さんのお子さんでも、いじめっ子になる可能性はあると心得ておく方がいいと思います。
なぜなら、小学校1〜2年生は、体型立てた教科書を使った学習が始まったばかりで慣れず子どもにとってストレスが溜まりやすいですし、
小学校3〜4年生は、割り算や分数、小数点など子どもたちにとって理解が難しい内容にレベルアップしてストレスが溜まるうえ、
5〜6年生は3〜4年生から始まっている思春期の、脳のアップデートと体の変化に子どもたち自身も無自覚にストレスを抱えていることも多いからです。
どんなに子どもたちに良い関わりをしていても、自分の感情や行動をコントロールする脳の前頭前野が発達途上の子どもたちは、過ちも犯します。
それをすべて「親がこうだから」と考えてしまうことは、親が一層、子どもが過ちを犯さないようにと監視し、口うるさくなり、さらなるストレスを子どもに与える悪循環になりかねません。
もし、「あ、自分のこういうところを子どもが真似したのか」と親御さんに心当たりがあれば改善する必要がありますが、お子さんの発達過程も知識として入れておくことで、私たち親がおおらかな心でお子さんにとって適切なサポートを冷静に講じることにもつながりますよ。
① お子さんの気持ちに寄り添いながら行動に対しては改善を促す
例)「意地悪なこと言っちゃおうっていう気持ちはわかるよ。誰でも、そういうことを思っちゃうことってある。
でも、それを実行するのは良くない。相手も傷つくし、それをやったとき、〇〇ちゃんはどんな気持ちだった?
楽しかったり、スカッともしたか。でも、ちょっとモヤモヤしたものもあったんやね。」
② お子さんにストレスを解消する適切な方法を教える
・「ムカッときたことがあれば、話聞くよ」と話し相手になる
・思いっきりダッシュしてストレス発散する
・ピアノを弾いたり、絵を書いたり好きなことをして発散する
など、他者を攻撃する以外の、適切なストレスの解消法を一緒に考えましょう!
子どもたちが、なんらかの背景があっていじめてしまった経験を通して、自分のことを客観的に理解して、感情や行動をコントロールする方法を教えると、子どもは他者に対しても「意地悪な人」と単にレッテル貼りをするんじゃなくて、「何かストレスがあるのかな?」と理解しようとする視点が身に付きます。
いろんな人の気持ちがわかり、大人になってからのコミュニケーション力につながる。
わが子がいじめられたら
①「いじめられる側にも原因があるからいじめてもいい」という論理は通さない
わが子がいじめられた時に、「あなたがいじめられるのも仕方がない」という言葉がけはNGです。
確かに、いじめられた子がいじめっ子を何かしらの理由で苛立たせていたり、癪に触ったのは事実かもしれません。
それは、努力できる範囲で少しずつ改善するとお互いにとって良いかもしれませんが、だからと言って、いじめても良い理由にはならない、ということを子どもたちが理解できるよう伝えましょう。
誰もが完璧じゃないし、全員に好かれるなんて不可能なので、大事なのは、お互いに「これは嫌だから、こうして」って言葉で伝え合ったり、どうしても波長が合わないなら合わないなりに、お互いがわざわざ傷つけなくても機嫌良く過ごせるようにすることですよね。
「あなたは、宝物だし不当な扱いを受けてはいけない大切な存在」
と子どもたちには、全面的に存在を承認してあげましょう!
また子どもたち自身も、「自分も相手を嫌な気にさせたのかもしれないけど、こんなことする必要はないのにな」と思えると良いですね。
「あなたも誰も、いじめられていい人なんてこの世にいない」
と、自己肯定感が下がっているお子さんをハグするなどして、心も体も安心できるようにするのも良いですね。
②常に子どもの気持ちや意向を確認する
もし大人が介入する必要があるかも、と感じた時には、
「このこと、先生に伝えてもいい?」
「こんなふうに先生に伝えたらどうやろ?」
「なんか不安なことない?もしあったら、それが起こらないように事前に考えておこう!」
など、いじめの対応も子供の気持ちや意向を確認して、子どもが納得して「そうしたい」と思えるように慎重かつ建設的に対話していきましょう!
担任の先生と情報共有した時も、担任が「じゃあこうします」と独断でいきそうになったり、「え、それ大丈夫?」と思うことがあったら、担任のプライドを損ねないように
「ありがとうございます。助かります。一点だけ、確認しても良いですか?」
と確認するなどして、子供の気持ちや意向を置き去りにして大人の決めつけで解決に走ることは避けましょう!
③必要あればアイデア出しをサポートする
例えば子どもが「自分が親や先生にチクったと思われたくない」と言ってきたら、じゃあ「先生に言わないでおこう」「いじめっ子に指導をしないようにしよう」と短絡的に結論づけてしまうのではなく
「チクったと思われないような、指導の入れ方はないか?」とクリエイティブに考えましょう!
私自身、高校教員だったときは、いじめなどが起こりやすい休憩中によく教室に遊びに行って、いろんな生徒と世間話をしていました。
そうすると、実際は知らなかったんだけども、「私、チラッと見たんだけど」という切り口で、指導に入るというやり方なども可能でした。
もちろんその案を出す時も、「その言い方をしたときに、どこかツッコミどころないかな?それにはどう対応するか?」まで子どもと一緒に考えて対応するようにすると、「あいつチクったな!」とはなりにくかったですね。
学校や習い事の先生がどんな人か、先生との関係など、さまざまな要素がありますが、その状況の中で、
「こうしたらどうだろう」を、子どもの気持ちを第一に創造的に考えるようにすると、子どもも大人のそのような向き合い方をみて、「トラブルが起こっても、考えるといろんな解決策があるんだな」と今後の生き方の参考にもなります。
まとめ
今回は、いじめられない子に育てる方法と、それでもいじめが起こってしまったら…ということについて解説してきました!
今日話したことの全てにおいて重要なのは、いじめられた子も、いじめた子も、またその双方の保護者のことも、誰のことも悪者にしないということ。
いじめられた子やその保護者は、加害者を悪者にしないという考えは受け入れ難いかもしれませんので、無理に受け入れる必要はありません。
当事者にしかわからない苦しみや痛みがあると思いますので、その気持ちをまずは癒すことを最優先してくださいね。
でも、まだ未然に防止したり、解決できる程度の段階だったり、中立的な立場で物事を見れる立場の段階にいる時には、いじめた子やその保護者のストレスや困り感を理解し、今日解説したような適切なサポートをすることで、いじめっ子が再度いじめに走ることを防げます。
私たち親も、子どもに怒鳴りたくて怒鳴っている親御さんは少ないですよね。
そんな親御さんの怒鳴ってしまう背景や気持ちには理解しながら、怒鳴ってしまうという行動を改善していくサポートが親御さんにも必要なように、子どもたちにも、理解と適切なサポートが必要です。
今、生意気で憎まれ口を叩く子どもも、本当に小さな時は、ママを喜ばせたいと、小さな体、小さな手で、精一杯の優しさを表現してくれたこともあったはず。
それは子どもたちだけでなく、私たち親も同じです。
私たちが自分自身のことを自己受容して心に余白をつくることで本来の優しさや純粋さを取り戻し、普段子育てに頑張っている親御さんにも、「自分のことが好き」「自分最高!」「我が子最高!」となっていただけたら幸いです!
また、今日お話しした「いじめられない子に育てる3つの方法」は、親子のEQを高める関わりでもあります。
近年では、IQよりEQが年収や幸福度に相関していることが研究でわかり、アメリカやシンガポール、北欧などで子供のEQを高める教育の推進が図られています。
私が教育視察に行ったオランダの学校でも、EQを高めることにつながる取り組みを始めてから、子供たちやその保護者が落ち着き、学習環境が整ったと校長がお話しされていました。
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